ニュース

株式会社みたのクリエイト 代表取締役 田野 治樹さん

2014.03.20 Thu.

【executive INTERVIEW 沖縄に立つ 沖縄を発つ(4)】
株式会社みたのクリエイト
代表取締役 田野 治樹さん

とことんクリエイティブに、得意なことだけに特化
誰もやらない"逆張り"と"理念の徹底"を海外でも貫く



mrtano_trimmed.jpg
 「目利きの銀次」など県内で13店舗の飲食店を運営する株式会社みたのクリエイトは、創業13年目となる2013年11月、初の沖縄県外直営店をタイのバンコクにオープンした。「日本の居酒屋文化を浸透させる」「現地の所得水準を上げる」という目標を掲げ、スタートアップ期の荒波を乗り越えようとしている。

原価率100%超のひと皿に
象徴される理念と方法論

 代表取締役の田野治樹さんは創業時から、人がやらないことをあえてやる"逆張り"の発想を大切にしてきた。その象徴が、原価率100%超、時には200~300%にもなるという常識外れの目玉商品だ。「売れば売るほど赤字です(笑)。逆張りは壁しかない。だからみんなやらない、というかできない。でも自分たちはやる。それは経営理念が"思いやり"と"サプライズ"だからです」

 メニューや価格、斬新な店舗空間にも"サプライズ"を強く感じる同社だが、"思いやり"とは?「文字通り、お客様とスタッフを思いやること。自分たちはこれを徹底して行動に移しています。『お客様が大事』と言いながら時間制限したり座席が狭かったり、『スタッフが大事』と言いながら社会保険も休みもなかったら全く意味がない。でも、徹底的に"思いやり"を実行していくと、それが企業風土となり、その上で思い切った"サプライズ"が可能になってくるんです」
 この理念を徹頭徹尾、貫いてきた田野さん。鮮度を保てる仕入れ・流通網を構築し、大量仕入れと宣伝広告費ゼロでコストを抑え、破格の価格設定で販売数を伸ばし、回転率を上げてスタッフの技術向上を速める、という好循環も生み出した。

東京ではなく、バンコクへ
決め手は「使命感を持てるか」

 10店舗を超える運営規模になった頃、田野さんは「外への展開」を模索し始める。「好循環の輪を拡げるには、店舗数の拡大は不可欠。でも、出店の条件は客単価を3000~5000円に設定できるエリアで、地域一番の業態になり得る物件が確保できること。県内では探しにくくなってきていた中、まず考えたのが東京への出店でした」。しかし結果的には、同社の県外出店先は東京ではなく、海外に。どんな心境の変化があったのか。

 「3年ほど前にバンコクを視察した時、日本の居酒屋文化がほとんど知られていないと知りました。給与水準は低いが、国民性なのか、天然のホスピタリティと温かさがある。ここなら、質の高い雇用を生むことで所得水準を上げていける。新しい食文化を提案して人々の生活を豊かにしていける。自分たちが直営店を出す意味や使命感を、バンコクでは強く感じられると思いました」
 それから3年にわたる妥協なき物件探しの末、バンコク市内の大型ショッピングモール「K-ビレッジ」内に100坪160席、中2階やテラス付きの好物件を獲得。店舗空間は県内同様、沖縄市出身のデザイナー兼城祐作さん率いる「造形集団」とつくり上げた。11月の開店以来、タイ人客で連日満席状態だという。

桁違いのスピード感の中
理念をぶらさず挑戦し続ける

 タイ人客を主要ターゲットに、前月比130%ペースで売上を伸ばすバンコク直営店が利益を出すのはこれから。沖縄とは全く違うスピード感が求められる中、当面の困難は食材調達と人材育成だ。食材の4割が日本産で輸送費の負担が重い中、田野さんは挑戦的な価格でのテスト販売に踏み切る。「毛ガニ一杯6000円とか、売れないと思うでしょう?これが売れる。日本産で、かつ美味しければ、高くても売れる手応えがあったので、自分たちらしい"サプライズ"で販売数を増やし、コスト負担を下げるべくメニュー開発を急いでいます」
 また人材については、平成24年度の経済産業省「おもてなし経営企業選50社」選出の一因となった同社の「スキルプログラム」をカスタマイズ。100項目以上にも及ぶ細かいスキル評価の結果を、10円単位で時給に反映させている。「タイでは席に案内する、注文を取る、料理を運ぶなど、仕事が細かく分業されて他には踏み込まないのが普通。これをひとりで3つできれば、人数は3分の1で済み、給料は3倍にできます。スキルアップが所得向上につながる、という意識を定着させたい」と意気込みを語ってくれた。

 異なる文化・風習の中でも、変えるもの、変えずに貫くものを"理念"に照らして見極める。自らにもスタッフにも「クリエイティブであれ」「得意なことだけをやれ」と繰り返し求め続ける。そんな田野さんは今後、海外出店を増やしながら県内での新業態開発にも取り組むという。次は一体どんな"サプライズ"が飛び出すのか、実に楽しみだ。


okemori.jpg kvillage.jpg
看板メニュー「産地直送 桶盛り刺し」(左写真)と、バンコクの一等地に構える「目利きの銀次K-ビレッジ店」(右写真)。同社は、"クリエイティブであれ"という経営方針から「動く町」「いぶし銀次郎」「生け簀の銀次」「目利きの銀次」「火鉢屋」「グリル銀次」「Chef's GRILLE」など13年間で7業態を開発した


株式会社みたのクリエイト
設立:2007年9月 事業内容:飲食店企画
経営(県内13店舗・海外4店舗) 
本社所在地:中城村南上原816 
☎098-895-6002