ニュース

株式会社アイディーズ 代表取締役社長 山川 朝賢さん

2013.10.18 Fri.

【executive INTERVIEW 沖縄に立つ 沖縄を発つ(2)】
株式会社アイディーズ
代表取締役社長 山川 朝賢さん

ビッグデータと技術を武器に全国市場と渡り合う
躍進は「誰もやっていないことをやってきた結果」



mr_yamakawa.jpg

 アイディーズは今年7月、日本初となる技術の開発に成功した。これは小売業界の常識を大きく覆す画期的な出来事だ。

 スーパーなどの小売各店で販売する食品のうち、惣菜と生鮮食品にはこれまで統一されたバーコードの規格がなかった。そのため、これらの消費動向をデータベース化することは不可能と思われてきたが、アイディーズはこの常識を打ち破り、各社ごとに異なるバーコード情報を一元化するという日本初の技術を確立。一元化により生成される規格情報を「i-code(アイコード)」と名付けた。

 惣菜や生鮮食品が誰にいつ、何と一緒に買われたかを示すビッグデータを分析した情報は、売り場づくりや仕入れ計画に活かせるため小売・メーカー各社には魅力的だ。同社は既に、一般食品を対象とした購買データの分析情報を使ってデータベース・マーケティング事業を行っているが、ここにi-codeの分析データを加えて商品力を強化し、さらなる事業拡大を進めようとしている。

沖縄をビッグデータの集積地に
独自の発想で事業を創造

 代表取締役社長の山川朝賢さんは、類似の技術が乱立して規格争いに追い込まれる前に、集まるデータ数で他社を圧倒するため、i-codeを無料で配布して周囲を驚かせた。その狙いは、沖縄にデータセンターを設立し、日本中から集まってきたデータを管理する仕事や、分析システムを開発する仕事を生み出すこと。沖縄を拠点に雇用を創出しながら、全国の食品流通に関わる企業を相手に"知的情報"を提供しようという考えだ。

 日本初という快挙を成し遂げたアイディーズだが、実は山川さんは同社の創業以前から、誰もやっていないことに挑戦し続けてきた人物だ。「最初に創業したシステム開発会社で小売業界を営業先に選んだ時も、無謀な挑戦だと言われました」と山川さん。薄利多売のビジネスモデルで成り立つ小売業者の場合、システムへの投資はハードルが高く、手つかずになることが多い。開発会社としては競合はいないが、システムの売り方を工夫しなければ利益を出せない。「スーパーの朝の清掃に参加するなど、取引先の現場に身を置いて課題を探しました。そこでシステムを『機械』として売るのではなく、システム『構想』という知的ノウハウに値段をつける戦法を編み出し、売上を立てていきました」

 事業成立の過程で山川さんは、小売業者共通の課題に気付く。「販売動向を把握するためにPOS(販売時点情報管理)システムを導入しているのに、得られたデータの活用方法が限定的」というもので、これがアイディーズ創業の契機となる。当時はPOSシステムとポイントカードシステムが別々に運用され、「何が売れたか」と「誰が買ったか」が関連付けられていないことが多かった。これを関連付け、「いつ誰が何をどのくらい買ったか」がわかるデータ分析システムの開発を発想。分析結果を活用すれば、チラシやダイレクトメール(DM)の費用対効果向上に貢献できる。チラシとDMだけで3000億円、広告・販促も含めれば6兆円という市場が目の前に開けた。綿密な調査の結果、2つのデータの関連付けは前例がないことが判明。「圧倒的な数のデータが全国から沖縄に集まるようにして、沖縄の技術者の能力を活かしながら、全国市場を相手に競合のいない商売をする」という構想が固まった。

 この構想を実現するべく、山川さんは県外へ進出。来店頻度が高い優良顧客をデータから突き止め、優待クーポン付きハガキを送る「ロイヤルティプログラム」を、九州の食品スーパーに提案したのだ。前例のない販促策を進んで採用する企業はなく、苦戦する中で「『報酬は成果が出てからでいいから』と頼み込んでデータをもらい、自腹でハガキを印刷し、自転車で配達して回りました」と山川さん。九州では半年で成果が表れ、続いて関東にも進出した。さらに各地で実績を積みながら商圏を拡げた結果、今では全国36社・2180店舗もの食品スーパーの購買データを扱う。世帯数にすれば約2000万世帯分にも及ぶ膨大なデータだ。

システム開発は沖縄で
適材適所の人材戦略が奏功

 競合がいない市場をつくる。山川さんが"ブルーオーシャン戦略"と呼ぶ構想が成功している要因のひとつに、適材適所の人材戦略がある。同社ではシステム開発部隊を県内出身者で編成し、営業・マーケティングは横浜支社で県外出身者が担当している。「沖縄出身者は、ゼロから発想してつくり上げることが得意。自分たちが使う、まだどこにもないシステムをゼロから発想するという仕事は、優秀な技術者のモチベーションにスイッチを入れます。外注したら100億円は軽く超えるシステム・設備を6000万円程度で自社開発できたのは、沖縄の技術者が優秀だという証しです」。山川さんの構想力と技術者の発想力がのびのびと発揮される組織風土も、"日本初"の技術開発を可能にした大きな要因だろう。

 i-code生成プログラムの開発を支援した産業振興公社の永井義人ハンズオンマネージャーは、「アイディーズさんには日々700万件のPOSデータが集まってきます。こういうことを粛々と15年間続けて来たことにようやくスポットライトが当たり、収穫の時を迎えたという印象です。ただ、i-codeそのものが価値を生むわけではなく、300億件にものぼるビッグデータの解析を賢く、高速に、なおかつローコストで実現しなければいけません。アイディーズさんの挑戦はまだまだ続きます」と語る。

 目下、新たなシステム開発と、事業拡大に向けた人員計画に取り組む山川さん。沖縄を発って15年目の成果を、さらなる成果への布石にするべく日々邁進中だ。


株式会社アイディーズ
創業:1998年4月
事業内容:マーケティング&プロモーションコンサルティング・データベースマーケティングプログラム・プロモーション開発・データセンター運営
本社所在地:豊見城市豊崎3-71
☎098-996-2561
自社サイト:http://www.id-s.net/

 

最近のニュース一覧

OVSニュースランキング

アクセス数が多かったニュースランキングベスト5です。