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(株)沖縄バヤリース 代表取締役会長 安里祥徳さん

2012.11.01 Thu.

【経営者は語る(6)】
(株)沖縄バヤリース 代表取締役会長 安里祥徳さん

関税撤廃、会社解散…
復帰時の苦境から山あり谷ありの40年


mr_asato.jpg オレンジ果汁の鮮やかな色に映える青いロゴ。バヤリースオレンジの甘くさわやかな味は、誰しも記憶にあるだろう。ところが、同じように店頭に並んでいても、沖縄県内に並ぶバヤリースオレンジは、県外のそれとは異なり、沖縄の会社が沖縄で製造したもの。本土復帰の1972年に設立された株式会社沖縄バヤリースが辿ってきた道筋には、深い歴史がある。
 もともとバヤリース飲料は1938年にアメリカで生まれた。沖縄では戦後、外国人が1950年にバヤリース・カリフォルニア・オレンジ(オキナワ)社を設立、当初は米軍施設へのみ出荷された。同社の後身であるアメリカンボトリング社に勤務していた代表取締役会長の安里祥徳さんが当時を語る。


 「戦後いち早く沖縄に飲料工場を設立したのは米国資本の5社で、B円の10円、米ドルに切り替わった後は10セントで小売していました。一方、米国の飲料や自社ブランド飲料を5セントで販売していた沖縄資本のメーカーが、本島だけで26社あり、計31社がしのぎを削っていました」
 60年代半ばまでは米軍出荷だったバヤリースは、日本復帰を迎える頃には7割が地元の民間市場への出荷となっていた。しかし、復帰による新たな問題が関係者の頭を悩ませていた。それは関税の撤廃だ。
 「それまで地元産業を保護するために日本本土からの商品には55%の関税がかけられていました。でもそれがなくなることで、本土から大手メーカーが安い価格で沖縄市場に進出しやすくなったのです」


 そうした危機が間近に迫った、日本復帰の数ヶ月前。さらに事態は大きく動いた。
 「私が勤務していたアメリカンボトリングはバヤリースブランドで順調な経営を続けていましたが、工場の建て替えが必要になり、敷地の売却・移転を計画しました。売却してみると、帳簿価格1万6千ドルの土地が予想を大幅に超え60万ドルになり、大喜びした経営陣はそのまま会社の解散を決議してしまったのです」
 バヤリースを引き継ぎたいと名乗りをあげた会社もあったが、社員は一切引き受けないという。そこで幹部社員が、自分たちで会社を買い取り引き継ぐことを提案。ノウハウもある。取引先もある。ないのは資金だけ。
 「仕事を続けたい社員は最低でもこの先の基本給10ヶ月分か千ドルを出資してもらいたい、と呼びかけたところ、約60人の社員が新会社への就職を希望し、12万ドルの出資金が集まりました。さらに外部から9万ドル、そして海邦銀行の前身である沖縄中央相互銀行の専務だった知名定興氏からも1万ドルの出資があり、社長も引き受けていただいた。知名社長の人脈のおかげで資金がすべて賄われ1973年、現在の工場で操業を開始しました」


 そこから40年。けっして順風満帆とはいえない荒波の中を沖縄バヤリースは生き抜いてきた。たとえば設立と同時期にアメリカの原料メーカーが変わり、品質を大きく落とし売上が減少。
 「日本のJAS規格に合うよう何度も改良させるのには骨が折れましたが、その結果、離れていった顧客を取り戻せたうえ、大きく売上を伸ばすことができました」
 また、大型ガラス瓶が主流となった5年間は、瓶の原価で大手にかなわず2億円を超す赤字を出したが、容器の主流がペットボトルに移ったことで他社並みのコストとなり、再び市場競争力を高めた。さらに2002年に発売した「シークヮーサー入り四季柑」が県外を中心にヒット。
 「今では当社全売上の約2割を占め、好評に応えて先日新たに900mlサイズの商品を発売しました。また、自社他商品の県外出荷の牽引役となり、現在当社全売上の約4割は本土出荷です」
 気がついてみれば、かつて31社あった飲料メーカーのうち、生き残ったのは5社。そのうち4社は本土のナショナルブランドの子会社となり、地元資本を中心に生き残ったのは沖縄バヤリース1社のみとなった。
 「今後も大手メーカーの真似をせず、地元の優れた素材を活用しながら独自の商品開発に取り組みたい。そうすることで地元の素材関連業界の活性化に寄与し、また県外への販売を通じて沖縄ブランドの価値を高められれば」と安里会長は抱負を語った。
 大きなブランドを背負いながらも、気負わず、グローバルに独自の展開を繰り広げる力。それこそが、同社の新たな道筋を切り開く原動力なのだろう。


安里 祥徳(あさと・しょうとく)
1930年ペルー生まれ。8歳の時に沖縄に引き揚げる。
1960年アメリカンボトリング株式会社入社。1972年株式会社沖縄バヤリース設立時、専務に就任。1983年代表取締役社長就任。2006年代表取締役会長就任。


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株式会社沖縄バヤリース
所 在 地:〒901-1207 沖縄県南城市大里字古堅1208
電話番号:098-945-3381
会社設立:昭和47年4月
事業内容:清涼飲料水製造・販売
自社サイト:http://www.okinawa-bireleys.co.jp/

 

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