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【50号特集】沖縄経済の進化を語ろう。〜情報紙「沖縄ベンチャースタジオ」創刊50号記念特別企画〜

2017.08.10 Thu.


【50号特集】沖縄経済の進化を語ろう。
〜情報紙「沖縄ベンチャースタジオ」創刊50号記念特別企画〜

オリオンビール株式会社
代表取締役会長 嘉手苅 義男さん
株式会社 御菓子御殿
代表取締役会長 澤岻カズ子さん
公益財団法人 沖縄県産業振興公社
理事長 末吉 康敏



2004年創刊の情報紙「沖縄ベンチャースタジオ」は、このたび50号の節目を迎えた。情報紙発行13年間の歩みの中で、県産業界はどのように変化し、県内事業者はどのように進化してきたのか。50号の巻頭特集は記念特別企画として、本紙のサブタイトル「沖縄経済を進化させる情報紙」になぞらえ、県産業界を牽引してきた三者による鼎談(ていだん※座談会)形式で「沖縄経済の進化」について語っていただいた。



リーマンショック、大震災...
激動の中で観光客増・人口増

末吉康敏(以下「末吉」): この13年間で印象的なのは、観光関連の順調な伸びですね。リーマンショックなどの影響で観光客が減少した時期もありましたが、2004年に515万人だった入域観光客数は2016年に876万人となり、このうち海外からの観光客は13万人から213万人へと飛躍的に増加しています(※注1)。この背景にはクルーズ船バースの整備や伊良部大橋の開通、空港関連では新石垣空港の開港、那覇空港のLCC(格安航空会社)専用ターミナルや国際線新ターミナルの供用開始といったインフラ整備が挙げられます。沖縄振興一括交付金(※注2)に伴う公共投資の増加もまた、県内の好況感を後押ししています。

※注1:平成28年度沖縄県入域観光客統計概況より
※注2:沖縄振興に資する事業を県が自主的な選択に基づいて実施できる一括交付金

嘉手苅義男さん(以下「嘉手苅さん」): 県内の人口増加傾向も顕著ですね。人口増加率で全国一、また県人口に占める15歳未満の割合も全国一(※注3)と、特に若い世代の大競争時代が始まっているように思います。また貿易も活発になってきました。2009年からはANA(全日本空輸)による国際貨物ハブがスタートしましたが、主にアジア地域に向けた輸出が着実に伸びている印象があります。

※注3:平成27年国勢調査より

澤岻カズ子さん(以下「澤岻さん」): 2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震などの影響で国内からの観光客は減少しましたが、その一方で海外客はビザの免除や緩和、消費税免税制度の効果もあって急増しましたね。また一括交付金を活用した各自治体の取り組みも進んでいて、例えば読谷村ではスポーツコンベンションの受け入れ実施に向けて動き出すなど、地域も賑わってきているのではと感じます。



〝追い風〟をとらえるヒントは
ニーズへの対応と市場の先読み

末吉: この状況をふまえて私はいつも「沖縄を株に例えるなら〝買い〟」と言っているんですが(笑)、お二人もそれぞれ積極的に事業を展開してこられた13年間だったかと思います。


嘉手苅さん: ビール・発泡酒・新ジャンル商品の国内市場推移では1994年から2014年までの40年で28%も減少しており、若者を中心にビール離れが進んでいます。少子高齢化がさらに進む国内市場には差別化戦略をとりながら、その一方で海外展開にいっそう力を入れてきました。産業振興公社の課題解決プロジェクト推進事業、沖縄国際物流ハブ活用推進事業、万国津梁産業人材育成事業といった支援事業も活用し、現在ではアジア各国をはじめ米国やロシア、ブラジル、ペルーなど世界17の国と地域に販路を拡げています。収益性の向上に向けた事業多角化も進めており、2014年に開業した海洋博公園近くのホテルオリオンモトブリゾート&スパは利用者の満足度調査でも上位に入り、業績も好調です。
名護工場の見学施設「オリオンハッピーパーク」も、近年は台湾を中心とした海外客が急増しています。彼らは工場見学で〝安心安全〟を実感し、地元でも当社のビールを「高くても納得して」買ってくれる。販路拡大の視点からも、工場を見てもらうメリットの大きさを改めて感じますね。

澤岻さん: 「元祖紅いもタルト」誕生の1986年から現在に至るまで、生産設備の増強拡大を何度も行ってきましたが、そのたびに産業振興公社の設備貸与事業に助けられてきました。いつも限度額ぎりぎり、また期限ぎりぎりまで貸与を受け、また次の設備投資でお世話にな
る、その繰り返しでここまで成長してこら
れたと思っています。

原料となるベニイモの品質や収量の向上
には、6次産業化という言葉が定着する
前から、生産農家の方々と一緒に取り組ん
でいます。約20年前に国際通り牧志店を
構えたことで自然に観光へと軸足が移り、2004年には初の都市型工場併設店となる国際通り松尾店をオープンしました。その後も読谷店、名護店など積極的に出店を続けながら、一方では食の安心安全の意識の高まりや食の多様化を受け、国際的な品質保証や食品衛生の認証、ハラール認証もいち早く取得しています。また、消費税免税制度が開始される際も他に先駆けて免税レジシステムを導入するなど、常にニーズの変化を意識して動いていますね。


沖縄経済の〝進化〟に不可欠な
「地の利を活かすアイディア」とは

澤岻さん: 沖縄を訪れる外国人観光客は、2004年には初の都市型工場併設店とその大多数が「沖縄のものというより日本なる国際通り松尾店をオープンしました。のものが欲しい」と思っているようです。
地元・沖縄産のものを使いさえすれば売れる、という時代ではなくなりましたが、かといって県外産の商品を安易に扱うべきでもない。ここは我慢のしどころですが、私たちはあくまでも地元・沖縄産にこだわり、安心安全な沖縄県産品をつくり続けたい。優れた県産品をつくっておられる他の事業者さんと一緒に沖縄の第一次産業を支え、共に発展していきたいと願っています。

嘉手苅さん: 那覇空港の第2滑走路の完成やMICEの成功、高速道路の延伸などが、今後の県全体の経済成長の土台になると思います。個人的には香港や台湾、タイ、中国などからの需要がある
ミーバイ(ヤイトハタ)の養殖の実現や、
豚・牛などの県産ブランド肉の品質・出荷
量の向上など、地の利を活かした新製品
開発にも期待しています。そしていちば
ん大切なのは、県民がそうした県産品を
愛用すること。沖縄で愛される県産品だ
からこそ、県外・海外でも売れるのです。いるのは確かです。つまり、あらゆる事業県民の皆さんが日ごろの買い物で常に県
産品ファーストの意識を持つことが、県経
済全体の発展につながります。というこ
とで、今夜の乾杯はオリオンビールで、お
土産は元祖紅いもタルトで!(笑)

できることなら、みんなで「沖縄物産振
興丸」という船をつくりたいですね。県内
事業者が連帯して輸出に取り組めば、物
流コストも下がり、輸出額も増やせます
から。オール沖縄で多種多様な品目を世
界に売り出していける仕組みづくりを、沖縄県や産業振興公社のリードでぜひ進めてほしいと思います。

末吉: 今、沖縄を前進させている〝成長と進化〟の風が、観光関連から吹いてきているのは確かです。つまり、あらゆる事業者にチャンスがある。観光といってもその裾野は実に広く、交通から宿泊、飲食、土産物、各種サービスなどまで波及効果が拡がり得るからです。自社の事業領域と観光との接点を模索し、ビジネスチャンスを探る価値は大いにあると思います。既成概念や既存領域にとらわれない、新たな発想のできる人材には活躍の場が広がっています。観光を起点にした県産業界の活性化は、10年先・20年先まで続く沖縄経済の〝進化〟の大きな一歩になるはずです。沖縄の強みを活かしながらみんなで知恵とアイディアを出し合い、これからも共に成長していきましょう!本日はありがとうございました。

※下記の画像は「沖縄ベンチャースタジオ50号」電子ブックにてご確認ください

県産業界において長くトップランナーとして走り続けてきた三者による鼎談。終始和やかで活気のある雰囲気の中で行われ、未来への展望や次代を担う人材育成について語る場面では三者それぞれに熱のこもった言葉を聞かせてくれた

嘉手苅義男(かでかる・よしお)さん。「ビールの海外出荷時に他社商材も一緒に売るなど“メイドインオキナワ”を世界に売り込む先導役でありたい。奨学金の給付や児童等の学習支援を実施する財団も設立し、人材育成への支援も進めています」

澤岻カズ子(たくし・かずこ)さん。「現在は工場併設直売店での販売が主力ですが、ロボットの導入などで省力化を図った生産性の高い製造専門の新工場を作る計画もあります。2030年までには無添加でも日持ちのよい新商品も開発したいですね」

末吉康敏(すえよし・やすとし)「沖縄の人口増と観光客増、そして公共・民間それぞれの投資増が県経済の追い風となっています。この状況をチャンスととらえて積極的にビジネスに取り組む事業者を、公社としても全力でサポートしていく方針です」



COLUMN
情報紙創刊から13年間の出来事

※コラム内の画像は「沖縄ベンチャースタジオ50号」電子ブックにてご確認ください

黒文字=沖縄県経済の出来事
赤文字=オリオンビールの出来事
紫文字=御菓子御殿の出来事

2004(平成16)年
「沖縄ベンチャースタジオ」創刊
「オリオン麦職人」発売(2月)
御菓子御殿国際通り松尾店オープン(3月)
ISO9001、HACCP認証取得(7月)

2005(平成17)年
古宇利大橋が開通
「オリオンサザンスター」発売(7月)
御菓子御殿読谷本店オープン(7月)

2006(平成18)年
酒税法改正「第3のビール」増税


2007(平成19)年
オリオンビール東京営業所を開設(6月)

2008(平成20)年
米国証券会社リーマンブラザーズが破たん(リーマンショック)
第25回全国菓子大博覧会名誉総裁賞受賞(元祖紅いもタルト)(5月)

2009(平成21)年
那覇港泊ふ頭地区の大型旅客船専用バースの暫定供用を開始
全日本空輸(ANA)が那覇空港で国際貨物ハブ事業を開始

2010(平成22)年
県が沖縄21世紀ビジョンを策定(県が策定した初の長期構想)
農商工連携ベストプラクティス30(元祖紅いもタルト)(4月)
「オリオンゼロライフ」が沖縄県最優秀優良県産品賞受賞(10月)

2011(平成23)年
民主党政権下で沖縄振興自主戦略交付金を予算計上(2012年度から沖縄振興一括交付金となる)
名護工場に「オリオンハッピーパーク」グランドオープン(5月)

2012(平成24)年
第32回「プロが選ぶ観光・食事・土産物施設100選」土産物施設第8位(1月)※2016年は第2位

2013(平成25)年
新石垣空港「南ぬ島」が開港
夏季限定ビール「オリオン夏いちばん」発売(6月)
沖縄大交易会のプレ交易会開催(2014年以降毎年大交易会を開催)

2014(平成26)年
那覇空港第2滑走路の増設工事に着手
那覇空港新国際線ターミナルビルの供用開始
日本アジアハラール協会認定(松尾店製造元祖紅いもタルト)(3月)
「ホテルオリオンモトブリゾート&スパ」開業(7月)

2015(平成27)年
伊良部大橋が開通
アサヒビールとの共同開発商品「シークァーサーのビアカクテル」発売(7月)
大型MICE施設建設地にマリンタウン東浜(与那原町・西原町)が決定
エクスペディアジャパン「2015年世界ベストホテルランキング」9位受賞(ホテルオリオンモトブリゾート&スパ)(7月)

2016(平成28)年
「知財功労賞の経済産業大臣表彰」受賞(4月)
ISO22000認証取得(6月)

2017(平成29)年
「輸出に取り組む優良事業者表彰」の食料産業局長賞受賞(4月)

 

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